音楽を日々聴いている皆さん、「DAC」を知っていますか?私の周囲には、知っている人はいませんでした(汗)まさに知る人ぞ知る。
オーディオを構成するシステムの中できわめて重要な機器であり、機能。超重要なのに、もっとも知られていない…それがDAC(ダック/DAコンバーター)です。
なぜ大切かというと…
①音質向上において劇的な効果がある
②予算を抑えながら音質を高めるうえでも重要
③CD↔ストリーミング、ヘッドホン↔スピーカーなどを使い分けられる
というメリットがあるからです。
DACはオーディオシステムの中核を占めるといえます。音質面はもちろん、オーディオシステムの柔軟性や拡張性を考えるうえで欠かせないマストアイテムです。
にもかかわらず、ほとんど知られていない🥺だから、もっと知ってほしい!
というわけで、今回は超無名なDACの超重要性に焦点を当てます。
オーディオ入門は「DAC」から
下の写真は、手前みそながら私のオーディオシステムです。
私自身、ヘッドホンもスピーカーの使い、なおかつ、ストリーミング配信にも昔ながらのCDにも対応。そのため、あらゆる系統が混然一体となったハイブリッドのシステムとなっています。
こうしたハイブリッドを採用している人は増えているようです。しかし、私が知る限りにおいて、肝心のオーディオ入門では、ハイブリッドのシステムは、ほとんど紹介されることがありません。
この中で、私が最初に購入したのが右にあるちっこい機器です。これが「USB-DAC」といいます。DACは「ダック」と呼びます。
オーディオに詳しい人からすると、「DACを知らないとかありえない」と思うでしょう。しかし、当初の私にとっては「何それ(北京ダックみたいに)食べられるの?」と言いたくなるほど、聞き慣れない単語。試しに同僚や友人、家族に聞いても、いずれも「何それ食べられるの」みたいな返事が返ってきました(笑)
この知られざるDACこそ、オーディオの中核的な役割を担います。そして、音質向上に欠かせないマストアイテムです。
DACとは「デジタル・アナログ・コンバーター(変換器)」の略称。
0と1が並ぶデジタルデータを、波形上の音楽再生用のアナログデータへと変換する機器です。そのほかにも、それを担う電気回路や、機能を指すこともあります。
レコードなどを除けば、オーディオには必ず「2つの通貨」、すなわちデジタルデータとアナログデータの通貨を扱います。これら2つの通貨の交換を担うのがデジタル・アナログ・コンバーター(DAC)の役割です。
このDAC、安ければ1万円程度で買えるし、ハイエンドは200万円以上します(汗)「車買える」価格ですね(笑)でも、レビューを読む限り、200万円の価値があるとか…
オーディオシステムの中心に位置するDAC
さて、私は元々、ユーチューブまたはアマゾンミュージックといったストリーミング再生だけで音楽を聴いていました。以下の①→③のような経路をたどります。
①USB接続を通じて、パソコンからUSB-DACへとデジタルデータが送られます。この写真では隣にあるネットワークトランスポーターというオーディオ専用機(別記事で紹介予定)と接続しています。
②DACでアナログデータに変換され、上のヘッドフォンアンプまたは左下にあるスピーカー用のアンプ(プリメインアンプ)に送られます。
③最後に、アンプで増幅されたアナログ信号がヘッドフォンやスピーカーに送られて音波が発せられて音楽として聴こえてきます。
かくして、デジタル機器側のデジタルデータを、D/A変換によってアナログ通貨に変換し、最後にイヤホンやヘッドホン、スピーカーから音が出る仕組みとなっています。
経済用語における原材料から最終プロダクト・サービスとして届けられるまでの流れを指す「サプライチェーン」のような「オーディオチェーン」で構成されています。
一耳で分かる、その音の違い
「そもそも、なぜDACなんて機器が追加で必要になるのか?パソコンでもスマホでも音楽を聴けるではないか」と、思う人もいるでしょう。
実は、このDAC、CDプレーヤーやミニコンポにも内蔵されています。CDに記録されているデジタルデータをアナログデータに変換する必要があるからです。
また、パソコンやスマホにもDACが搭載されています。音が出る機器の多くに標準搭載されているのがDAC。
それだけに、コンポやパソコン、スマホで音楽を聴く私のような人間にとっては、DACを含めたオーディオチェーンを知る機会もなければ、知る必要もありませんでした。
しかし、パソコンやスマホでは、一部のプレミアムな機種を除けば、DACとしての性能は一般に高くありません。そもそも、これらのデジタル機器で発生するノイズによって、アナログ信号が劣化してしまいます。
そこで、パソコンやスマホでD/A変換するのではなく、デジタルデータのままオーディオ専用機であるUSB-DACに送り、そこでデジタルデータからアナログデータへと変換します。
実際、同じ曲なのに聞き違えるほどに音質が向上します。私自身、DACを導入したことで、普段Youtubeで聞いていた音楽が「椅子から転げ落ちるほど」に良くなったことを鮮明に覚えています。
なお、巷で話題の「ハイレゾ」うんぬんの機器に対応するよりも、DACの導入こそが本当に良い音を聞くための最初のステップになるのです。
なお、ワイヤレスのイヤホンやヘッドホンにはDACが内部に搭載されており、無線で送られたデジタルデータが端末内でアナログ変換されます。
ハイエンドのワイヤレスイヤホンやヘッドホンには、「我が製品には、こんなハイエンドDACが搭載されているのだ!」と宣伝されていることもあります。
例えば、上の写真のワイヤレスイヤホンは、中国大手FIIO社の「FW3」。旭化成製チップ「AKM4332」が搭載されています。こぼれ話ですが、DACチップの有力メーカーの一社があの化学品や住宅で有名な旭化成であったりします。
オーディオシステムという「川」の関所
このように音質向上のカギとなるDAC。それだけではありません。DACこそ、オーディオシステムの「要」となります。
デジタルデータがアナログ信号となって音波が発するまでのオーディオチェーンの中で、DACはあらゆる交易の関所のようなポジションを占めます。
歴史や地理に詳しい人や「ドラゴンクエスト」などゲームに詳しい人なら「関所」と聞けば、その重要性をご理解いただけるでしょう。
第一に、複数の機器を使い分ける際の関所と鳴ります。
オーディオチェーンを「上流(音源データ側)」と「下流(音が出る側)」に分けます。
上流とはSportifyやAmaon musicなどのストリーミング再生、端末にダウンロードした音楽の再生のほか、CDを聞くといった音源側。このように音源には複数あります。
下流とは、スピーカーやヘッドホンなど最終的に音を発する(空気を振動させて音波を発生させる)側のこと。私自身はヘッドホンとスピーカーの双方を持っています。スピーカーは仕事デスク向けとリビングルーム向けの2ペアを使い分けています。
まるで川ですね。上流の源泉も複数あれば、下流の河口側も複数に分岐する川のようです。
ここで重要なのは、上流については当然、ストリーミングだろうがCDだろうが0・1のデジタルデータは共通言語。
下流についても、スピーカーだろうかヘッドホンだろうがイヤホンだろうが、信号のボリュームこそ違えど、アナログデータそのものは「共通言語」です。
そして、DACが上流と下流の関所となり、上流も下流も好みや環境に合わせて自在に使い分けることができます。
ヘッドホン用DACでスピーカーを鳴らせる
上流と下流を使い分けられれば、システムの拡張性が大きく広がります。
私のように少しずつオーディオシステムを発展させていきたいのであれば、まるで将棋やチェス、ゲーム「ファイヤーエムブレム」のように、DAC(D/A変換)という関所をどこに配置するか考えることで、柔軟に拡張していけるのです。
例えば、ヘッドホン向けには2~3万円台のお値ごろのUSB-DACが数多く存在します。それをスピーカー系統に接続すれば、ヘッドホンで音楽を聴いてきた人が、比較的安く、かつ機器を無駄にせずにスピーカーでも音楽を聴くことができます。
なお、USB-DACはヘッドホン向けとして販売されているものが多く、ヘッドホンアンプと一体化しているものもあります。それらはしばしばヘッドホンアンプとして紹介されている場合も多いです。
一般にはDACがあまりにも知られていないので、アンプという名称を前面に出しているのかもしれませんが、個人的な意見としては、DAC兼アンプと同等の位置付けで紹介してもらいたいです(涙)
スマホとイヤホン・ヘッドホンを接続する際には、「ドングルDAC」や「ポアタン」といった超小型DAC兼アンプもあります。こうした小型機器はイヤホンとも相性が良く、外出時もスマホで高音質の音楽を聴けます。
次回は、DACという機能・概念を中心に、オーディオシステムを柔軟に、かつ、なるべく安く(ここ重要)発展させられるポイントを紹介します。
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